MAHLE、電気トラックの航続距離問題を解決するレンジエクステンダーとレアアース不要モーターを発表
電気トラックの課題を解決するレンジエクステンダーシステム
長距離輸送における充電インフラの不足、充電時間の長さ、高額な充電コストといった課題は、これまでバッテリー電気トラック(BEVトラック)の普及を阻む大きな要因でした。MAHLEが新たに開発した電気トラック向けのレンジエクステンダーシステムは、これらの課題に対し、ディーゼル車並みの実用性を提供することを目指しています。
このレンジエクステンダーは、発電機、内燃機関、サーマルマネージメント(熱管理システム)、燃料タンク、AdBlueタンク、排気ガス浄化システムを一体化したコンパクトなパワーユニットです。必要に応じて稼働し、BEVトラックの航続距離を大幅に延長します。主要コンポーネントである高電圧発電機は、連続出力110 kW、最大130 kWのピーク出力を発揮します。また、新開発のオイル冷却システムにより、1キログラムあたり7 kWを超える高いパワー密度を実現しています。統合型のサーマルマネージメントシステムは、高温側48 kW、低温側15 kWの冷却能力を備え、効率的かつ高い信頼性での稼働を支えます。

レンジエクステンダーは、従来のバッテリー容量の約3分の1を代替することで、リアアクスル荷重を約400キログラム、車両総重量を約600キログラム削減できます。これにより、バッテリーで約400km、レンジエクステンダーで残りの400kmを走行し、合計800km以上の航続距離を達成することが可能です。CO₂排出量についても、従来の駆動システムと比較して80%以上削減できるとされています。さらに、HVO100(廃食油や植物油を原料とする再生可能ディーゼル燃料)を使用すれば、実質的にCO₂排出量ゼロでの運行も可能になります。これにより、運送会社の総保有コスト(TCO:車両の購入から運用までにかかる全ての費用)削減にも貢献すると見込まれます。

レアアース不要で高効率なMCT eモーター
MAHLEはIAA TRANSPORTATION 2026で、大型商用車の電動ドライブアクスル向けに開発された新型非接触トランスミッター(MCT)eモーターも世界初公開します。このモーターの最大の特徴は、永久磁石を使用していないため、レアアース(希土類元素:高性能磁石などに使われる重要な鉱物資源)を一切必要としない点です。これにより、戦略的原材料への依存低減に貢献し、従来の永久磁石同期モーターと比較して、車両1台あたり最大3キログラムのレアアース磁石を削減できるとされています。
MCT eモーターは、最高出力370 kW、トルク900 Nm超を誇り、大型トラックの過酷な用途に求められる高いパワー密度を実現しています。また、同等のソリューションと比較してドライブシステムを最大10キログラム軽量化し、車両全体の効率をさらに向上させます。VECTOドライビングサイクル(欧州で商用車のCO₂排出量と燃費を計算するためのシミュレーションツール)では95%の効率を達成しており、多様な用途を想定した実際のドライビングサイクルにおいても、従来の永久磁石式電動モーターを上回る高効率レベルに到達しているとMAHLEは発表しています。


脱炭素化に向けたMAHLEの取り組みと展望
MAHLEは、世界的に内燃機関の使用が減少傾向にある中でも、商用車セクターにおける内燃機関の需要が依然として高いことを認識しています。そのため、水素、バイオエタノール、HVO100、バイオLNGなどの再生可能燃料に対応する駆動システムの開発を一貫して進めています。これらの燃料は、特に既存の車両フリートにおいて、CO₂排出量を迅速かつ大規模に削減する大きな可能性を秘めています。
MAHLEグループマネージメントボード会長兼CEOのArnd Franz氏は、「技術的多様性は脱炭素化の障害ではなく、むしろその前提条件なのです」と述べています。気候変動目標をできる限り迅速かつ経済的に達成するためには、バッテリー式電動ドライブシステム、水素技術、再生可能燃料、そしてレンジエクステンダーシステムが互いに補完し合うことが不可欠であるとし、技術的多様性を損なわない信頼性の高い規制環境の重要性を訴えています。MAHLEは今後5年間で、商用車事業において市場を上回る成長を目指しています。
IAA TRANSPORTATION 2026で実物をチェック
これらの最新イノベーションは、2026年9月15日から20日までハノーファー・メッセ会場のホール11で開催される「IAA TRANSPORTATION 2026」で公開されます。MAHLEの持続可能で経済的な商用車向けソリューションに興味のある方は、ぜひ会場で実物を確かめてみてはいかがでしょうか。
詳細情報や画像を含む「IAA Transportation 2026」のデジタルプレスフォルダは、以下のリンクより確認できます。












