中古EVの電池を浪江で再製品化し、地域で使い切る 福島日産など6社が循環型社会に向けた連携協定を締結
福島日産自動車は2026年11月2日(月)、福島県双葉郡浪江町の「EV GARDEN なみえ」で、日産自動車、ナプロアース、損害保険ジャパン、フォーアールエナジー、住友三井オートサービスとともに「福島県及び浪江町での循環型社会の実現に向けた取組みに関する連携協定」を締結しました。同日、EV GARDEN なみえの2階で締結式が行われ、6社の代表が協定書に署名しました。協定の期間は締結日から5年間で、その後は1年ごとに自動更新されます。

中古EVの海外流出で、車載電池が国内に戻りにくい状況に
近年、状態の良い高年式の中古EVが海外へ輸出され、車載電池が国内に戻りにくくなっています。車載電池はクルマとしての役目を終えた後も蓄電池として再利用できます。ただし、そのためには車両を県内で使い続け、適切な時期に回収する仕組みが欠かせません。
浪江町には、日産自動車と住友商事の合弁会社であるフォーアールエナジーの浪江事業所があります。ここは、EV由来の使用済み電池を検査・再製品化する拠点です。また、新品の車載電池を製造する際には1kWhあたり約100kgのCO2が排出されるとされており(出典:International Energy Agency (IEA), “Battery lifecycle emissions by chemistry in the Announced Pledges Scenario, 2023–2035″)、電池の再利用はその削減にもつながります。こうした背景から6社は、「県内で走った中古EVの電池を、浪江で再製品化し、地域で使い切る」循環モデルの構築を目指し、相互に連携・協調しながら調査・検討を進めます。

仕入れから再製品化、地域での活用まで3つの柱
1つ目の柱は「中古EVを県内で使い続ける」ことです。4年落ち前後のEVを仕入れ、日産の診断で電池の状態(SOH:バッテリー劣化状態を表す指標)を確認します。そのうえで、個人には保証付きの中古EVリースとして、法人・自治体にはメンテナンスリースとして提供します。あわせて、車両と車載電池の価値評価にも取り組みます。
2つ目の柱は「役目を終えた電池を浪江に戻し、再製品化する」ことです。9年目前後にリース満了や下取りで戻ってきた車両を電池と車体に仕分けし、使える部品は再利用し、それ以外は解体して資源化します。電池は浪江町内の拠点で検査・再製品化されます。3つ目の柱「地域で使い切る」では、次の取り組みが掲げられています。
- 再製品化した電池を、蓄電池・交換用電池として地域で活用
- 充電電力の供給と再生可能エネルギーの活用
- 車両と電池の引渡し・物流体制の整備
電池に適正な価値が付けば中古EVの価値も高まり、次の中古EVが県内に残ります。6社は、この好循環を浪江から生み出すことを目指しています。各テーマは参加を表明した会社の間で協議し、具体的な事業は別途契約を結んだうえで実施されます。

6社が担う役割(想定)
- 福島日産自動車:中古EVの供給、個人向け販売・個人向けリースの窓口(EV GARDEN なみえ)
- 日産自動車:車載電池の状態(SOH)の診断・データの提供
- ナプロアース:車両の解体・資源化、車両と電池の引渡し・物流
- 損害保険ジャパン:中古EV向け車載電池の性能保証の提供支援
- フォーアールエナジー:浪江事業所におけるEV由来使用済み電池の検査・再製品化
- 住友三井オートサービス:法人・自治体向けのメンテナンスリース
「福島発・全国モデル」へ、浪江で積み重ねてきた歩み
福島日産自動車の代表取締役社長・金子與志幸氏は、長年地元でクルマを販売するなかで、中古EVの「電池寿命に対する不安」が価値低下を招き、普及の大きな壁になっていると痛感してきたと説明しています。そのうえで、各社の強みと本業をつなぎ、1台のEVが地域内で何度も価値を生む「循環型ビジネスモデル」を構築し、EV普及と資源循環の「福島発・全国モデル」として発信していく考えを示しました。日産自動車の日本ビジネス改革推進部担当部長・長谷川浩嗣氏は、中古EVを安心して購入できる市場づくりと環境価値の向上に取り組み、福島県から世界に示せる脱炭素社会のビジネスモデルの実現を目指すとコメントしています。また、ナプロアースの取締役社長・相浦光二氏は、同社が震災前に浪江町に本社を置いて自動車リサイクル事業を営んでいたことに触れ、役目を終えたEVを部品・資源として余さず次へつなぎ、電池を確実に浪江へ戻す役割を担うと述べています。
浪江町では、2019年12月に浪江町役場で日産リーフの納車式が行われました。2021年2月には、浪江町など3自治体と8企業による「新しいモビリティを活用したまちづくり連携協定」(浜通り連携協定)が結ばれ、福島日産も参加しています。2024年2月の第3回浜通り連携協定サミット in 浪江町では浪江駅前のEV拠点構想が発表され、2025年9月には浪江営業所を持つ自動車リサイクルのナプロアースが福島日産グループに加わりました。締結式の会場となったEV GARDEN なみえは11月3日(火・祝)にグランドオープンし、6社は今後、テーマごとに協議を重ねながら具体的な取り組みを順次進めていきます。
出典:福島日産自動車株式会社











